William Cheung (ネレウスディレクター・科学)は、4月29日、スタンフォード大学でセミナーを開いた。以下、Stanford Marine Conversation Biologyに掲載された原文。

パリの漁業ーそして国際学者の生活史

By Diego Sancho

パリは、グルメ料理を通して漁業への関わりが深い。というのも時折、そこに魚が含まれるためだ。しかし、2015年12月、パリがあの有名な国連気候変動会議(COP 21)の中心となった。二酸化炭素排出を世界規模で抑制するために目標を定めることが会議の目的であった。 Dr. William Cheung(日本財団ネレウスプログラムディレクター・科学/ブリティッシュコロンビア大学准教授)は、違う方面からパリと漁業を繋げた。彼の発表では、世界規模で最大二酸化炭素排出量についてのパリ合意の目標を達成したら、海洋漁業において世界と地域がどのような利益を生むかを論じた。

無責任に二酸化炭素を排出することで海洋漁業に影響し、排出を削減することで違うレベルで利益を生み出すだろうということは論理的に見える。しかし、 Dr. Cheungの発表は、気候変動の主要な影響やそれらがいかに漁業に影響するのかを予測し分析した。そして、重要なことだが、パリで合意された提案目標を達成することで、汚染された小国や気候変動の影響に最も脆弱な国々にとって、気候変動の重荷がどれだけ減るかを Dr. Cheungは説明した。

Dr. Cheungは、海面温度の上昇を観察することで、熱帯魚の高緯度への移動がどのように予想されるか、温暖化が進むことで熱帯へ移動する魚がいなくなることが、熱帯魚にとってどれだけ破滅的状況であるのかを説明した。さらに、彼はタイセイヨウマダラ漁業のデータでこの変化がどのように見えるかを示した。温暖魚の混獲が増加していて、タイセイヨウマダラ漁業を苦しめている。(この混獲で漁獲割当量を埋めてしまっている)一般的に、経済的にあまり豊かではなく、漁業の予想外の変動に脆弱である熱帯国において、この影響は大幅に拡大されるだろう。発表のこの部分の結論は、国家間での影響は同じではなく、適応力が低く一般的に途上国で最も影響が大きくなるだろうということであった。

Visit the blog postto watch a short interview with Dr. Cheung.

William Cheung Interview Stanford

裕福な国とそうでない国の間に既に生まれつつあるギャップは、この影響により大きく広がっている。また、不平等を悪化させ、さらなる衝突の可能性を産み、気候変動(他のことでも)への適応処置、状況を悪化させるだろうフィードバックループを作っている。それでもなお、Dr.Cheung は一般的な漁業や環境システムへの気候変動の影響の解決を見出してもいる。彼は、4つのオプションを元にしてフレームワークを発表した。緩和、修復、適応、保護、異なる社会的レベルで異なる可能な選択肢をそれぞれ含んでいる。また、彼の解決策に含む最も重要なメッセージは、おそらく温暖化が進めば進むほど選択肢は減っていくということだろう。それゆえ、突然現れる一つの完璧な解決策を望むのではなく、私たちはあらゆる手段を講じてこの問題に取り組むべきなのである。