Tyler Eddy(ネレウスリサーチフェロー/Memorial University of Newfoundland)が共著し、Rangitāhua(ケルマデック諸島)サンゴ礁のドキュメンタリービデオ映像を使用した生物多様性調査の新しい研究がNature’s Scientific Reportsに掲載された。Rangitāhuaは、ニュージーランドの北東に位置する亜熱帯の島々で、最も近い人の居住地から約750kmの所にあり、生物多様性に富んだ浅いサンゴ礁だ。しかし、これらのサンゴ礁は、1990年に作成された禁漁海洋保護区(ケルマデック諸島海洋保護区)の一部であり、この地域の生物多様性に関する調査データと監視が不足している。そのため、著者らは2015年にNatural History New Zealandが制作した「Our Big Blue Backyard」シリーズの映画調査に出かけたプロの水中ビデオグラファーから編集前の映像を入手した。ビデオ撮影者と協力し、研究チームは編集前のビデオを使用して、このタイプの映像がサンゴ礁の生物多様性の推定に使用できるかどうか、また従来の科学調査とどのように異なるかを調べた。彼らは、3種類のサンゴ礁魚がニュージーランド海域へ拡大した範囲を発見した:クリーナーベラ(Labroides dimidiatus)、イエローバックチョウチョウウオ(Chaetodon mertensii)、ハーフムーンハタ(Ephinephalus rivulatus)。著者は、「概念実証」研究で、編集前のドキュメンタリービデオ映像を使用して生物多様性の知識のギャップを補うことができることを示し、特に調査されることが稀な遠隔地や、遠隔地の海洋生物多様性に関する理解を深めるために使用できる「数千時間に及ぶ自然史ビデオ」が存在する場合に役立つことを主張した。
Reference
Liggins, L., Sweatman, J.A., Trnski, T., Duffy, C.A., Eddy, T.D., & Aguirre, J.D. (2020). Natural history footage provides new reef fish biodiversity information for a pristine but rarely visited archipelago. Nature Scientific Reports, 10:3159 https://doi.org/10.1038/s41598-020-60136-w link.