Andrés Cisneros-Montemayor (ネレウスプログラムマネージャー/リサーチアソシエイト/UBC)が筆頭著者を務め、William Cheung (UBC)、 Muhammed Oyinlola (UBC)、Gerald Singh (Memorial University of Newfoundland)、Wilf Swartz (Dalhousie University) 、 Yoshitaka Ota (ネレウスディレクター・政策/University of Washington) が共著した、ブルーエコノミー、つまり「海洋産業革命」に焦点を当てた論文が、” Marine Policy”に掲載された。彼らは、ブルーエコノミーが持続可能な開発目標(SDGs)の達成に真に効果的であるためには、社会的利益と公平性において、少なくとも環境と経済的懸念と同程度の位置付けで議論されるべきだと主張する。また、既存のガイドラインによってどのように社会的公平な政策を促進できるかを示しながら、資本に焦点を当てたブルーエコノミーがさまざまな海洋セクター(バイオプロスペクト、ブルーカーボン、ブルーエネルギー、エコツーリズム、漁業、海洋養殖など)に意味することを検討する。著者らは、持続可能性と経済成長を達成するために社会的懸念に対処する必要があること、社会的公平に焦点を当てることは「開発計画における経済的目標と環境的目標の間の共通の格差を埋めること」を促進することを主張している。著者らは、結論として、主に経済成長に重きを置く民間部門と資金提供機関の両方の目標によって形成されることが多い開発で、ブルーエコノミーは、「人権、資源へのアクセス、利益と費用の公平な分配の確保を含む」べきであり、社会的公平性に特に対処することが重要であると記している。以下、要旨全文。
要旨:「ブルーエコノミー」という用語は、各種海洋セクターや開発フレームワークでますます使用されるようになった。しかし、それを本当に有用なアプローチにするためには、社会的利益と公平性が環境的および経済的懸念とともに確実に優先されなければならない。ブルーエコノミーにおける社会的側面の統合は、海洋経済部門が持続可能な開発目標の達成に貢献することを保障するために必要である。資本重視の「ブルーエコノミー」が、一部の既存または新興の海洋部門にとって意味することを検討し、これらの側面を計画に組み込むために使用できる既存のガイドラインに着目する。ブルーエコノミーへの移行は、未開発地域の新興セクターの発展を意味するだけではない。より大きな課題は、社会と環境が同時に懸念されているものの、すでに経済と生計に大きく貢献している変革産業にあるだろう。ブルーエコノミーは時に「海洋産業革命」と理解されているが、歴史的な開発経路の広範囲に及ぶ負の社会的、生態学的影響を避けなければ、持続可能な開発とウェルビーイングを達成することはできない。したがって、発展するだけでなく、変革的なブルーエコノミーの不可欠な部分として包括的で公平な政策を構築し、実施するには、協調した努力が必要不可欠である。
Reference:
Cisneros-Montemayor, A.M., Moreno-Báez, M., Voyer, M., Allison, E.H., Cheung, W.W.L., Hessing-Lewis, M., Oyinlola, M.A., Singh, G.G., Swartz, W. and Ota, Y. (2019). Social equity and benefits as the nexus of a transformative Blue Economy: A sectoral review of implications. Marine Policy, 109: 103702. https://doi.org/10.1016/j.marpol.2019.103702