Julia Mason(ネレウス) が筆頭著者を務め、Larry Crowderらと共著した新しい研究がジャーナルBiological Conservationに掲載された。ペルーのシュモクザメの漁業と保護、およびシュモクザメ漁の季節的禁止(1月1日-3月10日)に対する地元の漁師の反応に焦点を当てている。漁業努力や人口評価などのペルーのサメ漁業管理を妨げる要因に関する主要な研究とデータのギャップに対処することが目的である。彼らはペルーの刺網漁師に88回のインタビューを実施し、ペルーのシュモクザメ漁業の生態学的、社会的、政治的、文化的背景、またシュモクザメの季節的禁止に対する認識と反応についての洞察を得た。漁師たちは、シュモクザメが少なくなり、小さくなり、さらに遠くの海に漁に出るようになったのは、乱獲によるものである可能性があると回答した。著者らはまた、インタビューした漁師の大多数が、稚魚や妊娠中のサメの捕獲を含め、シュモクザメが減少していることに対する自分たちの役目を認識しており、それらを保護する規制を支持していることも分かった。しかし、漁師らは、シュモクザメ漁の禁止は、経済的制約、人口動態、漁業の衰退における責任を誰が負うかなど、現実を反映していないと考えている。著者らによると、これらの回答は、シュモクザメ保全対策の開発と実施を含む参加プロセスへの透明性と関与の不足を指摘しており、漁師と当局の間に食い違いを生み出している。以下、全要旨。
要旨:小規模漁業の生態学的、社会的データのギャップを埋めることは、サメの種の世界的な保全にとって重要である。2016年、脆弱なシュモクザメ(Sphyrna zygaena)の国際的な保護措置の下、サメの稚魚を保護するために、ペルーの小規模漁業における季節的な漁業禁止が決定した。漁業の影響と禁止措置の有効性を理解するには、漁業の社会生態学的ダイナミクスに関する豊富なデータが必要である。ペルーの刺網漁師88人とのインタビューにより、漁師がシュモクザメの個体群への影響を認識しており、さらに種への歴史的な漁業の影響が、実際には公式記録よりも厳しいことが明らかとなった。総体的には、回答者は保全対策に賛同しており、回答者の76%が漁業禁止を支持している。
しかし、ほとんどの回答者が、非現実性、経済的厳しさ、生態学的必要性、コンプライアンスの負担などの不公平を伴う禁止措置には反対の意を示している。これらの異議は、禁止を実施するまでのプロセスにおける透明性と漁師を巻き込まなかったことから直接、間接的に生じた可能性がある。漁師らは、捕獲サイズの規制や動的な「移動」空間の閉鎖など、シュモクザメ管理の代替案や追加オプションを提案した。これらの結果は、漁師にとっても実用的でより公平に参加できる参加型プロセスの利点を示している。
Reference
Mason, J.G., Alfaro-Shigueto, J., Mangel, J.C., Crowder, L.B., & Ardoin, N.M. (2020). Fishers’ solutions for hammerhead shark conservation in Peru. Biological Conservation, 243: 108460. link.