国際機関やグローバル・ガバナンスについて、私たちは個人個人異なったレベルで社会的意識(知識や政治的関心)を持っている。しかし、なぜこれが問題となるのだろうか。 Lisa Dellmuth(ネレウスフェロー/ストックホルム大学)による新しい論文では、国際機関に関する知識を持つ人々のタイプに不同性があることを述べる。

「一般的に言えば、政治的意識が強いのは、往々にして教養があり、経済的に安定している白人男性であり、このグループは他のグループよりも有識である。グローバル・ガバナンスという面において、国際機関に関する一般論争に発展していくまでのプロセスがどのような人々に伝達され、その人々がいかに把握し参加できるかにより、市民意識の不均衡の程度に影響がでる。重要なことは、人々やグループ(例えば職種グループ)間で、知識が平等に提供されていないことが、人々の関心の表れに影響する。また同様に、世界レベルでは市民団体によるこれらの関心の表現における平等性に関係してくるかもしれない。」とDellmuth氏は話す。

Review of International Studiesに掲載されたこの論文 “The knowledge gap in world politics: Assessing the sources of citizen awareness of the United Nations Security Council“では、国連安全保障理事会がケーススタディとしている事項である、市民がどの程度国際機関を認識しているかについて調査するために、アジアやヨーロッパの17カ国での調査データの統計分析を用いた。

この論文では、市民個人としての国際機関の認識は、対象者が住む国での市民の経済状況、社会的アイデンティティ、所得不均等に影響を受けているということを示唆した。より裕福な人たちは高いレベルの認識を持ち合わせており、貧困層では所得不均等により認識が下がるという現象が見られた。なお、「他国で何が起こっているかを把握している市民は、国際機関をだいたい認識している。」とDellmuth氏は話す。

国連安全保障理事会の市民意識は経済や社会的アイデンティティに影響を受けている。

Dellmuth氏は、国際機関についての認識があるかないかによって、国際機関がもつ正当性に影響が出るだろうと特筆する。この論文は、今後漁業ガバナンスの理解につながるかもしれない。

「重要な未来の方向性がたくさんある。今後の研究では、世界レベルで増加しつつある環境や安全性に関する問題のもつれが市民意識に影響するかどうかを調査すべきである。また、国際漁業ガバナンスのためには、例えば特定の漁業者グループのようなサブグループの中における知識パターンや不平等性の影響に焦点を当てるべきである。」とDellmuth氏は述べた。

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Lindsay Lafreniere
Communications Officer, Nereus Program
Institute for the Oceans and Fisheries
The University of British Columbia
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