Written by Nereus Research Fellow Zoë Kitchel,
今月初めにニューヨークの国連で開催されたネレウスフェローをフィーチャーしたパネルディスカッションは、大きな反響を呼んだ。国連は、海洋と海洋法に関する非公式協議プロセスを毎年開催している。この会議は、科学者、管理者、NGO、そして起業家がこの分野での進捗を表明し、私たちの海をどう管理するかという観点から、未来へのビジョンを示す場となる。主要な問題は、総会に引き継がれ検討される。
今年の第20回サミットでは、国連持続可能な開発のための海洋科学の10年のテーマで議論が展開された。海洋科学の10年は、世界規模での海洋の健全性の衰退を好転させるために、効果的な政策と最先端の科学を適用することを目標として、2021年から始まる。その他のパネルの議題には、海と人間の健康の関わり、先住民の知識の統合、海洋科学の法的フレームワーク、また枠を超えた国際協力などがあった。
今年の第20回サミットでは、国連持続可能な開発のための海洋科学の10年のテーマで議論が展開された。海洋科学の10年は、世界規模での海洋の健全性の衰退を好転させるために、効果的な政策と最先端の科学を適用することを目標として、2021年から始まる。その他のパネルの議題には、海と人間の健康の関わり、先住民の知識の統合、海洋科学の法的フレームワーク、また枠を超えた国際協力などがあった。
ポルトガルのある起業家は、ブルーエコノミーにより変動する未来の世界における彼のビジョンを共有した。また、ドイツの研究者は、データアクセスだけでなくどのようにデータを使用し適用するのかについての訓練が必要であることを主張した。南アメリカ、北アメリカ、ヨーロッパから参加している午前のパネルディスカッションの発表者たちは、海洋科学における機会、進化する海洋科学を利用するための提案を確認した。パネルディスカッションが終わりに近づいた時、カナダからのある代表者が「私たちは、この部屋にいる聖歌隊に説教をしている。他の利害関係者やグループに対してのギャップを埋めることについて具体的な考えはあるか?」と質問した。皆の注意が前方に向き始めたのを直ちに感じた。これは、全員の意識の最前線にある問題であり、この問題に取り組むために私たちは集まったのだ。
フェロー達は、どのように海洋研究を進めるかという点で、困難ではあるが重要な公平性と学際性に関するテーマに飛び込んだ。Wilf Swartzが進行したランチタイムパネルディスカッションに、Katy Seto、Julia Mason、Tiff-Annie Kenny、 Becca Selden、 Harriet Harden-Daviesはが参加した。ネレウスフェローとして歩み始めたばかりの私は、聴衆がどのように反応するのかを学びとるために、聴衆の一人としてこのイベントに参加した。私は、6人の優秀な若手女性科学者たちが、利害関係者の関与の必要性と課題、そして最初と最後のように部分的ではなくプロジェクトの全ての段階において分野を超えて研究することの重要性について議論するのを見てとても嬉しかった。
Dr. Kennyは、北極圏における公平性と気候に関する自身の研究を紹介した。彼女が研究しているコミュニティでは、女性は漁獲の社会動学によって水銀中毒となる危険性が最も高い。彼女は、気候変動の波紋が、性別、人種、コミュニティ、国に均等に及ぶわけではない現実を強調した。
Dr. Masonは、実際に役立つ管理戦略を特定することの重要性を説明した。ペルー沿岸域のシュモクザメの場合、漁師の生計やサメの健全性の持続可能性を確保するために、管理戦略がほとんど機能していないことがわかった。政策が効果的であるためには、コミュニティが必要とするものによって科学と管理の統合を進めなければならない。彼女は、コミュニティが海洋の何に価値を置くかを想定することはできないこと、聞き取りの必要性を確認した。
Dr. Seldenは、アメリカ東沿岸の魚や漁業コミュニティが、変化している現実にどのように適応しているのかについて、データと対話の両方から導いた見解を伝えた。1950年代から60年代のタラ戦争や今日のロブスター戦争のような悪名高い衝突は、海洋資源には国境がないという事実の良い例だ。こういった衝突の仲裁のために、国際規模での協力が必要である。彼女は、気候により対応するために、漁業管理についての考え方を変えることを提案した。
Dr. Setoは、成長と持続可能性を同時に促進する方法を検討するよう促した。開発途上国にとっての伝統的漁業、自給自足、また小規模沿岸漁業の役割とは何か。気候はその役割にどんな影響を与えるのか。大規模漁業企業と中小漁業企業の脆弱性を比較したらどうか。漁業の背景を理解し効果的な政策を構築する際には、分野を超えた研究に価値があることを聴衆に再確認させた。
Dr. Harden-Daviesは、遺伝資源学の観点から私たちが自然の領域を超えて海洋政策をどのように形作ることが出来るかを研究した。無限の可能性が続く唯一無二の資源にアクセス出来るのは誰かという質問から、深海を所有するのは誰なのかというより広範囲な質問に繋がっていく。これらの資源が、知識、データ、経済的利益のために利用されるため、公平性を守るためには、協力、管理、能力育成のレンズを通して問題にアプローチする必要があることを説いた。
2013年に初めて海洋酸性化が議論されて以来2度目となる今年、ネレウスプログラムは、効果的な多分野横断的研究のアプローチを世界中の代表と共有した。チームは、海洋科学の10年で海洋科学が改善できる側面、公平性および多分野横断的研究を考慮することが理想的であるだけでなく、UNCLOSによって設定された目標を達成するためにいかに必要であるかを探求した。フェロ―達が示した具体的な例は聴衆をひきつけ、その後のセッションでは一週間のサミットを通して、ネレウスのパネルディスカッションについて多く言及された。
私たちが会議室から出る時にアフガニスタンからジンバブエまでの代表者席を通りながら、科学者としてのキャリアをスタートさせた私が努力すべきこと、そしてネレウスプログラムが挑む、私たちの海洋の持続可能で公平な未来とは、非常に大きな目標であり、193の主権国がその目標を共有した時にこそ実現可能となる、ということを再認識した。