By Gerald Singh, Nereus Fellow

2015年の国連会議以来、SDGに関する盛り上がりは幾分薄れてきており、今は目標達成のための分析や政策立案にまつわる厄介な仕事にぶつかっている。SDGの構築は、あらゆる貧困に終止符を打ち、不平等と戦い、気候変動に対応すべく取り組むことを目標としながら、実際には、世界開発における多くの(ほぼすべての)側面にわたり合意への前例のない政治的努力であった。しかし、私たちが望むすべてを得ることができるのだろうか。同時に自然体系の保護を強化し、疎外された人々の権利、収入、食糧アクセス、政治力を高めながら、世界経済を成長させることができるのだろうか。もしこれが理論的に可能な場合でも、世界開発の現状が組み込まれたトレードオフで溢れたら、どのような方向に舵をきるのか。私たちが住む世界から、私たちが望む世界のビジョンへと移行する意味合いを明らかにすることが、今、持続可能性の重要な課題となっている。

これらの概念は、国連が計画している一連の政治的会議の背景を決め、持続可能な開発目標(以下、SDGs)を理念から現実のものへと推し進めることを目標とする。政治的活動に入る前に、国連は専門家会議を開き、議論の進展を報告した。私が出席した会議では、持続可能な消費や生産を推進することに焦点をおいた。

持続可能な消費と生産は、 他のSDGsを支援するSDGの一つであり、経済開発、回復力のあるインフラの構築、持続可能なコミュニティの生活など、多岐にわたる目標の中心となる。専門家会議は、輸送、食糧システムに関するセッション、国際的な気候変動目標の達成、そして海洋の持続可能な利用の達成など多くの分野に及んだ。

この会議では、消費と生産が他のSDGs達成への重要な道筋として議論された。しかし、これにより人々が考えていた関係の方向性を制限される。SDGsのその他の目標は、持続可能な消費や生産への重要な道筋としての役目を果たすことができる。(持続可能な食糧生産やクリーンエネルギーの実現のような)その上、その他目標は、持続可能な消費や生産がどのように稼働するかを導く重要な背景を示すことになる。例えば、最近の研究では、海洋酸性化はすべての甲殻類種に同様の影響を与えないだろうことを示唆している。さまざまな理由(生息地、形態学、食餌など)で他の動物より影響を受けにくい動物もいるだろう。将来的に、もし水産養殖や海洋牧場が、人々のために持続可能な食糧を供給するのに大きな役割を持つのなら、今後予測されている気候において、どの甲殻類種が成長するのかを考えなければならない。たとえ海のpHが低下しても、海洋酸性化の影響を受けにくい種を養殖することで、海洋牧場が持続可能な水産物を確実に供給し続けるだろう。SDGsを共依存する存在として捉えることが、消費や生産を持続可能なものにするために必要な循環型経済モデル(一部の産業の廃棄物と産出を他の産業の材料として使用できる)を達成する上で不可欠である。

どのように消費や生産の再構築に関するSDGs が、予期せぬ失敗やトレードオフを起こさず、相互利益を促進していくのか。これは、SDGsを推進するために必要な戦略的思考である。これはまた、実践的で実現可能な移行を生む考え方である。

「この目標をいかに達成するのか?」この質問に対処することは、「何を望むのか」という質問ほど心躍らない。適切な戦略がなければ、追い求める目的は達成されないだろう。SDGsによって、研究者たちは、人々と地球の関係における包括的な可変性の事柄に関わることとなる。それは、究極の学際的研究である。私は、研究者が、持続可能な開発目標に関する多くの重要な研究課題を認識し、それによりさらに多くの研究者がその計画に参加することを願っている。