Thomas Frölicher (ネレウス研究責任者/University of Bern)が研究チームの一員として、「カーボンバジェット (所定の温度目標の下で許容される累積的な排出量)」を使用し、CO2 排出を停止したあとの地球の平均気温の変化をモデル化する新しい論文をBiogeosciencesで発表した。地球温暖化を2°Cに抑えるとすると、1000 PgC(大気中に排出される炭素1兆トンに相当)に設定されたこのカーボンバジェットは、人間活動に起因する許容CO2 排出の上限であると推定される。著者らは、ゼロエミッションコミットメントモデル相互比較プロジェクト(ZECMIP)の一部として、18種類の地球システムモデルを使用し、CO2 排出を停止してから50年後の気温上昇は−0.36〜0.29∘Cの間であり、平均は−0.07 ∘Cであることを示した。これは本質的にゼロであり、2°C上昇に留めるという目標値を下回る。また、炭素の吸収と温暖化における海の役割、そしてそれが今後どのように変化するかについても議論している。
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参照
MacDougall, A. H., Frölicher, T. L., Jones, C. D., Rogelj, J., Matthews, H. D., Zickfeld, K., Arora, V. K., Barrett, N. J., Brovkin, V., Burger, F. A., Eby, M., Eliseev, A. V., Hajima, T., Holden, P. B., Jeltsch-Thömmes, A., Koven, C., Mengis, N., Menviel, L., Michou, M., Mokhov, I. I., Oka, A., Schwinger, J., Séférian, R., Shaffer, G., Sokolov, A., Tachiiri, K., Tjiputra , J., Wiltshire, A., and Ziehn, T.: Is there warming in the pipeline? A multi-model analysis of the Zero Emissions Commitment from CO2, Biogeosciences, 17, 2987–3016, https://doi.org/10.5194/bg-17-2987-2020, 2020 link.