魚は、10年に70㎞の割合でそれまでのテリトリーから離れ移動しており、時間が経つにつれて移動が加速する可能性がある。科学誌Scienceに掲載された論文の中で、学際的チームネレウスの研究者たちが、今後数十年間で、多くの魚種が国また政治的な境界を越えて移動していくだろうということを明らかにした。世界の漁業において、この分布の移動に対する準備が未だなされていない。魚の移動により、 資源の権利を基とする衝突を招く可能性もある。この論文の共同著者の一人、Richard Caddellに、両極への魚の大移動に関する一問一答を行った。
Q: 種の分布の急速な変化に対応するためには、国際漁業制度に何が必要とされるか?
Caddell: 主要な問題は、国際的な漁業制度が「将来性を考えた」政策を策定するための領域が、比較的小さいことである。ほとんどのRFMOs(地域漁業管理機関)は、資源管理及び目標設定に偏った関心を向けており、気候変動による将来的な資源への影響を監視しモデル化する能力を持ち合わせていない。
Q:この問題に取り組む際の国家の役割は何か?
Caddell: 難しい問題である。国家は、海洋資源が公平に配分されるような革新的な方法を考案するのではなく、魚の分布変化によってもたらされる漁獲機会を模索する方向へと進むだろう。これらの変化が、公平かつ効果的に管理され、資源が移動する結果、資源を失うことになる国を認識するために、国家は重要な役割を担っている。しかし、過去の動向パターンからすると、国家が断然個人的な関心事として行動するという懸念がある。
Q:研究者はどのような役割を果たすか?
Caddell: 研究者たちは、管理機関がさらなる管理決定を下すための効果的かつ妥当な情報を有することができるよう、変化に関する正確な予測を提供することが重要である。研究者たちのほとんどが、各国家に公平でもある。変化する海洋の動向を追跡することは、将来を見据えた計画を立てやすくするために非常に重要である。