アジアは、水産物の生産と消費ともに盛んである。世界の漁師や養殖業者の84%がアジアにおり、世界の漁獲、漁業製品の70%以上がここで消費されている。アジア内での認証水産物の需要は、ヨーロッパや北米のような他の地域よりも遅れている。ここでは、不均等に開発された認証スキームを示唆しているが、アジアで認知さえれば大きな可能性を持つものである。

Marine Policyに掲載された新しい論文の中で、Robert Blasiak(ストックホルムレジリアンスセンター/ネレウスプログラムフェロー)は、水産物認証スキーム、それに関連する開発、アジアから見た残りの課題の原因をたどる。

魚資源の状況は不確かな要素があるので、持続可能な水産物や養殖製品を認証している信頼性の高いスキームに関心が高まっていてる。認証スキームの需要が高まっている一方で、多くの課題が横たわる。例えば、認証スキームがたくさんあり、消費者や小売業者の間で混乱を引き起こしているのだ。認証も高価になりうるため、特に開発途上国では、一部の小規模漁業者には手が出せなかったり、非実用的であったりする場合もある。アジア諸国は特に水産物認証に関し、特別な課題に直面しており、特に小規模漁業に関しては、地域や地元の状況や管理方法を考慮した認証制度の必要性を強調している。

このレポートは、漁業認証についての歴史の説明、水産物認証スキームにおける増加する多様性および厳密性に焦点を当てたシンポジウムでの発表の概要、アジアでの水産物のエコラベルの障壁と機会について述べている。特に、消費者行動の変化や漁業認証の状況の継続的な進展を追跡するために、アジア全域で研究を積極的に推し進める必要があると結論付けている。

要旨

2017年2月に東京大学で開催された国際シンポジウム“Designing the Future for Fisheries Certification Schemes(漁業認証スキームの未来設計)” に参加した一連の専門家たちによるインプットを構築するために、このレポートでは、漁業認証スキームの発端、それに関連する開発、アジアから見た残された課題について考察した。過去20年に渡り、水産物認証は、持続可能な漁業や養殖製品の需要の増加に対応するための役立つツールとして認識されてきた。責任ある漁業を営むために国家間で合意しているにもかかわらず、漁業認証の状況は不均等のままである。認証スキームが多種あることで、消費者や小売業者の間に困惑が発生し、特に開発途上国では、資本集約的認証スキームは、一部の小規模漁業者にとって手が出せなかったり、非効率的であったりする。世界水産物持続可能性イニシアチブ(GSSI)は、 FAO(国連食糧農業機関)責任ある漁業のための行動規範及び、漁業やエコラベルや養殖について他の関連する合意されたFAOガイドラインに沿った認証スキームを評価するためのツールを作り出すことで、認証において多様性に取り組むことを目的としている。アジアの国々は世界の水産物消費トップであり、水産物輸出者でもあるが、水産物認証に関する特定の課題に直面している。特に小規模漁業に関して、地域や地元の状況や管理方法を考慮した認証スキームの必要性が喫緊の課題である。

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