Larry B. Crowder (ネレウス研究責任者/Stanford University)が研究に参加したチームが“Integrating climate change into ocean planning気候変動を海洋計画に統合する)” をジャーナル Nature Sustainabilityに掲載した。レビューのために、著者らは海洋空間計画(MSP)および気候変動に関する150を超える科学的参考文献を分析し、気候変動、MSP、海洋の持続可能性の間のつながりに焦点を当てた。その分析から明らかになった3つの主要なトピックは以下。

1. 気候変動の影響を緩和し、国連持続可能な開発目標(SDGs)13(気候変動に具体的な対策を)また、SDG14(海の豊かさを守ろう)をサポートする解決策としてのMSP。

2.MSPにおける気候変動の統合 

3.変化する気候へのMSP適応の潜在的な経路。

彼らは、気候変動が温暖化、酸性化、脱酸素化、海面上昇を通じて海にどのように影響を与えるか、そしてそれが生態系サービスに変化を及ぼし、人間が海と資源(例えば、漁業、水産養殖、エコツーリズム)を利用する方法にいかに影響するかを説明する。さらに、気候変動が進むにつれ、現在搾取されている地域は人の増加に直面しており、これまでアクセスできなかった地域(北極など)により多くの人間の興味が集まり、それによりさらに大きな空間管理の課題が生じている。したがって、著者らは「MSPは変化する海で動作しているため、気候の影響に適切に対処して統合することが、計画を長期的に、実行可能で有用な状態に保つために不可欠である」と主張し、「MSPは持続可能な海洋利用に貢献できるが、効果的にそれを行うには、変化する海が不可欠なものであるという課題に備える必要がある。」と結論付けた。以下、要旨と記事のリンク。

要旨

地球温暖化の加速と海洋社会生態系の脆弱性の増大により、海洋がもたらす利益に影響が及ぶ。海洋地域の空間計画は、世界的な海洋目標をサポートしながら、複数の人間の要求のバランスを取り、健全な海を確保するために不可欠である。しかし、変化する海で用いるためには、海洋空間計画(MSP)が気候変動の要素を効果的に統合する必要がある。MSPと気候変動に関する既存の文献を確認することで、それらと海洋の持続可能性との関連性を調査し、管理上の課題を強調する。また、気候変動の影響をMSPに効果的に統合し、行動を導くための管理・課題を特定する。

The above summary was adapted from the reference below

Frazão Santos, C., Agardy, T., Andrade, F., Calado, H., Crowder, L.B., Ehler, C.N., García-Morales, S., Gissi, E., Halpern, B.S., Orbach, M.K., Pörtner, H., & Rosa, R. (2020). Integrating climate change in ocean planning. Nat Sustain. link.