Geffertは、先日“Improving Species Distribution Models for Commercially Important Marine Species on a Global Scale(世界規模で商業的に重要な海洋種の種分布モデルの改善について)”という表題で博士号を取得した。彼は、一般的に使用される3つの種分布モデル、 Bioclim、 Maxent、Boosted Regression Treesについてより詳しく見ていき、予測をより良くするためにこれら3つのアプローチに対して3つの改善点を導き出した。
「モデルのデータにムラがあり、分布に対する予測がとても偏っているということが一つの共通問題であった。もしある地域でサンプル記録があまりなかった際、あまり種が存在しないからなのか、誰もまだ調査していないからなのかは、データからははっきりとわからない。モデル予想はこのサンプルの偏りに影響される。まずは、海洋領域では適用されたことがない領域で開発されたアプローチ(標的グループバックグラウンドアプローチ)でその偏りをテストした。そして、近縁種の反復データを査定する代わりに、セカンダリーデータソースの一種で種モデルの代換である専門家の意見による分布地図でそれらを査定した。これらは同じことを試みる二つのアプローチであり、この二つをまとめることで実際に総合データとなる。
Geffert は、モデルが必要以上に複雑になる事を避けるために、モデル調節過程も修正した。「より簡単なモデルを使う事で、それゆえより真実に近づく可能性が高いモデルを使用する(事を目指した)。」と彼は話す。最終章では、専門家の意見による分布地図と分布モデルの融合を考察している。彼は、全1035種類のモデルを作った。
「Maxent モデルとBoosted Regression Treesは、最高の性能が得られ、最も多く使用されているモデルなので、この二つのモデルに非常に大きな違いがあるということに驚かされた。多くの科学者達が何を使うかは独断的であるが、一旦アルゴリズムを使い、簡単で即使用できるインプリメントで変更し始めると、これらのモデルがどのように作動し、これらの変更にどのように反応するかに大きな違いが得られる。 Maxent models とBoosted Regression Trees間の相違はとても印象的であった。」
ネレウスプログラム、ケンブリッジ大学、世界自然保全モニタリングセンターとの関係は、Geffertにとってユニークで絶好の機会となった。彼は、それを「三角関係」と呼ぶ。ゆくゆくは、イギリス、ロンドンでデータサイエンティストとして仕事をする予定だ。今後、世界自然保全モニタリングセンターは生物多様性インパクト調査や生態系サービス評価に彼のアウトプットを使用することに興味を示している。
「ネレウスプログラムは、分野のほんの少しの部分を推し進め、次の研究論文について悩むのではなく、実際に意思決定や政策実施にどのように、そしてどれだけ効果を上げるのかを考え、全体的な構図やビジョンを示そうとしている。そのネレウスの一部になれたこと、そして共通の目標に向かって努力しているチームの一員であることは非常に興味深く刺激的であった。」と Geffertは話す。