モントレーベイ水族館が率いる研究チームでGabriel Reygondeau (ネレウスプログラム同窓生/UBC & Yale University)は、PLoS ONEのオープンアクセス論文 “Towards a global understanding of the drivers of marine and terrestrial biodiversity(海洋および陸生生物多様性のドライバーのグローバルな理解に向けて“を共著した。この論文で、著者らは65,000を超える海洋種および陸生種を使用して、グローバル生物多様性マップを初めて作成した。現在までのところ、これはどのような環境要因がそれらの分布に寄与しているかを含め、地球全体の生物が存在する場所の最も包括的な観察である。
研究の動機について Gabrielは次のように話している。「海洋と人間社会は、生物多様性プールによって形作られる食物供給などの利益を提供する海洋と、海洋の自然環境への人間の影響における閉じられた相互作用のループにある。種の空間分布と生物多様性のパターンを定量化することは、生態学の柱の1つであるものの、長い間そのような研究は、アクセスしやすくサンプリングコストが抑えられる陸生域に焦点が当てられてきた。
「ここでは、海洋と陸域に関する情報を収集することにより、同じ目的を持つ2つの科学コミュニティを統合し、何世紀にもわたって人口を維持してきた地球上の生命の統一的かつ客観的な全体像を示す。領域に制限のない多様性のグローバルパターンを研究することで、この生物多様性の状況でより効率的なツールを提供するために、分野の理論的知識を再評価することができる。」とGabrielは続けた。
この研究の著者らは、グローバルな生物多様性マップを作成することにより、世界中の生態系に対する今後の気候変動の影響に対処するために必要な管理法を提供できると期待している。
要旨:生物多様性の分布を理解することは何世紀にもわたって自然主義者と科学者を駆り立ててきたが、利用可能なデータと分析に必要なモデルの両方によって制約されてきた。ここでは、人工ニューラルネットワークを使用して、気候、生産性、またその他の複数の環境変数の状態と変動性を備えた種の豊富さをモデル化するために、67,000を超える海洋種および陸生種のデータを編集した。陸生の多様性は、利用可能な環境ドライバーによって海洋の多様性より正確に予測され、また海洋の多様性はより小さな変数集合で予測できることがわかった。地理的な隔離や構造の複雑さなどの生態学的メカニズムは、モデルの残差を表し、地球規模でさらに注目に値する領域とプロセスを特定できるだろう。世界の生物多様性のパターンとそれらをサポートする環境メカニズムとの関係の推定値を改善することで、気候変動の影響を緩和し、人新世(アントロポセン)の生活に適応するためのガイダンスを提示する取り組みに役立つはずである。
Reference
Gagné TO, Reygondeau G, Jenkins CN, Sexton JO, Bograd SJ, Hazen EL, Van Houtan, KS (2020) Towards a global understanding of the drivers of marine and terrestrial biodiversity. PLoS ONE 15(2): e0228065. link.