ネレウスプログラムのVicky Lam(UBC)は、Regional Studies in Marine Scienceの中で‘Dealing with the effects of ocean acidification on coral reefs in the Indian Ocean and Asia(インド洋及びアジアのサンゴ礁における海洋酸性化の影響への対処)’という論文を共著した。その中で、アジアやインド洋にある浅瀬のサンゴ礁が、いかに海洋酸性化や上昇する海面温度により悪影響を受けるのか、そしてそのために魚の生息地、生物多様性、海岸線の浸食防止、漁業、ツーリズムにおける重要な役割からの生態学的利益が減少することを論じた。この地域でのサンゴ礁漁業やツーリズムは、地域経済に年間120億ドルを生み出し、直接的、間接的に450万人(東南アジアのサンゴ礁漁業335万人、インド洋150万人)を雇用し、沿岸コミュニティに必要なツーリズム収入をもたらしている。
海洋酸性化や海面温度の上昇に加えて、浅いサンゴ礁は、サンゴの採掘と破壊的な漁業技術による汚染、沈降、乱獲、生息地破壊があり、すでに急激に減少している。著者らによると、この地域のサンゴ礁が、将来の海水の化学変化にどれほど脆弱であるかをよりよく理解するために酸性化モニタリングステーションを実施するため、ユネスコ政府間海洋委員会(UNESCO-IOC)は、NOAAとGOA-ONからの支援を受けて、WESTPACのための小委員会を発足させた。
サンゴ礁の回復力、成長率、生存率を減少させる主な要因は、酸性化や海面温度の上昇であるが、環境ストレス要因と酸性化との相互作用によって生じた損害の程度は未だ不確実である。そのため、研究者たちは、「海洋酸性化のサンゴ礁への影響を監視、緩和、適応させる」という方法で、地元の沿岸コミュニティ、NGO、政策立案者間の協力を優先している、と著者らは論じている。また、その地域の酸性化への適応能力を評価し、この地域でのサンゴ礁への酸性化の影響を生態学的にも社会経済的にも、緩和する可能性を秘めた解決策を強調している。
The above summary was adapted from the reference below:
Lam, V.W., Chavanich, S., Djoundourian, S., Dupont, S., Gaill, F., Holzer, G., Isensee, K., Katua, S., Mars, F., Metian, M. and Hall-Spencer, J.M., 2019. Dealing with the effects of ocean acidification on coral reefs in the Indian Ocean and Asia. Regional Studies in Marine Science, p.100560