William Cheung(ネレウスディレクター・科学/UBC)が共著した新しい論文「カナダの大西洋漁業における海洋酸性化と気候変動の影響による潜在的な社会経済的影響」がオープンアクセスジャーナルPLoS ONEに掲載された。ニューブランズウィック州、ニューファンドランド・ラブラドール州、ノバスコシア州、プリンスエドワード島を含む「大西洋カナダ」に焦点を当て、さらに本研究ではケベック州における海洋酸性化(OA)と気候変動が地域の漁業の未来に与える影響を調査した。著者らは、これらの州が、カナダの陸揚げの80%、カナダ商業漁船の85%以上を網羅しており、カナダの水産物生産の大半を担っているため、懸念すべき事項であると指摘する。したがって、OAと気候変動による悪影響は、主に農村コミュニティの経済に影響を与える可能性があり、その多くは天然資源で生計を立てている人々である。
貝類がコミュニティにとってますます重要な資源になっていることを考えると(その地域の陸揚げの約50%を占める)、貝の生育に潜在的に有害であるOAにより、これらのコミュニティは特に危険にさらされる。著者らは、生物物理学的影響モデリングの取り組みを用いて、この地域の貝に対するOAの影響を評価し、気候変動が他の海洋生物種の豊富さや分布をどのようにシフトさせるのかも組み込んだ。これは、OA効果を加え、潜在的にOA効果と相互作用するだろう。それらの取り組みに加え、著者らは、OAと気候変動により漁業の水揚げが変化した場合にこの地域が直面する社会経済的影響を評価するための影響評価フレームワークを構築した。これら2つを組み合わせることで、著者らは「[社会経済的影響評価]フレームワークにおける将来的なリスクと有害要素」を通知するために生物物理学的モデルを使用することに成功した。本質的に、彼らは気候変動とOAから予想される影響を地域の漁業に直接適用し、生物物理学的モデルを使用した。それにより「漁業の水揚げの変化を[社会経済]フレームワークに組み込むことができる」のである。詳細はこちら。
Reference:
Wilson, T.J.B., Cooley, S.R., Tai, T.C., Cheung, W.W.L., & Tyedmers, P.H. (2020). Potential socioeconomic impacts from ocean acidification and climate change effects on Atlantic Canadian fisheries. PLoS ONE 15(1): e0226544. link