Written by Nereus Research Associate Ryan Swanson,

Jessica Spijkers(ネレウスリサーチフェロー/ストックホルムレジリアンスセンター)、Gerald Singh (UBC)、Robert Blasiak (SRC)、Henrik Österblom (SRC)などによる漁業紛争に関する論文が、2019年7月5日のHakai Magazineに掲載された記事の中心となった。注目される研究であるため、著者らは英語で書かれたニュースレポートから収集したデータを使用して漁業紛争の縦断的分析を行い、以下の質問に答えた。

  1. 長期に渡る国際的な漁業紛争の頻度は。
  2. 国際的にどんな類の漁業紛争が存在し、どのような人が関与しているか。
  3. さまざまなタイプの紛争に対応するためにどのような戦略がなされているか。

彼らは、国際的な漁業紛争の数が過去40年間に増加しており(1974-2016、1998-2007はわずかに減少)、複数の非特定種を違法に漁獲しているアジア諸国間(2000年以降に発生した国際漁業紛争の43%を占める)でより頻繁に発生し始めていることを突き止めた。これは、紛争が歴史的によく見られてきた、北米(米国とカナダの間)およびヨーロッパから、また紛争が単一種特有である傾向があった地域から移行している。

世界の人口増加、資源不足、魚の移動パターンに影響を与えている気候変動に対して、急増する食料としての水産物需要の組み合わせにより、国家間の漁業紛争が広がり、深刻度が増している状況であることを、著者らは警告している。「強い繋がりを持つ世界では、局所的な漁業紛争が「システミックリスク」にエスカレートする可能性が高まり、食料供給などのある分野でのリスクが、海上安全保障や国際関係などの別の分野のリスクを高める可能性がある。」と叙述する。著者らは、これらのリスクを軽減し、国際的な漁業紛争を回避するための戦略を提案し(例:漁業が許可されている地域を明示する条約)、政治的境界を越えた紛争管理を提唱、また政府や科学者に、これらの紛争とそれに関連する影響につながる要因をより徹底的に調査するよう呼びかけている。

論文の全文はネレウスプログラムウェブサイト

Reference

Spijkers, J., Singh, G., Blasiak, R., Morrison, T.H., Le Billon, P. & Österblom, H. (2019). Global patterns of fisheries conflict: Forty years of data. Global Environmental Change, 57, 101921. link