Andre Boustany(デューク大学/ネレウス同窓生)とPatrick Halpin (デューク大学/研究責任者)による研究 “Tuna and swordfish catch in the U.S. northwest Atlantic longline fishery in relation to mesoscale eddies”が、Fisheries Oceanographyに掲載された。この研究では、海流の種類の一つである中規模渦、海面温度、漁に使用された道具など、異なる条件下での影響を考察した。

中規模渦は、数ヶ月から数年に渡って流れる水の渦で、熱量、塩分、CO2を地球規模で移動させている。渦は、高気圧型で反時計回りの中心に上昇する海流、もしくは、低気圧型で時計回りの下降する海流である。研究者たちは、クロマグロの漁獲量は高気圧型の渦で最も高くなるのに対し、キハダマグロやメバチの漁獲量は低気圧型の渦で最も高くなっている。カジキは、渦の外側の地域でよく漁獲されている。

使用されたライトスティックの数によって推定漁獲量に重要な変化をもたらすこともわかった。科学発光液を使用したサイリウムのようなライトスティックは、主に夜中に魚を惹き付けるためにフックの上の釣り糸に取り付けられる。ライトスティックをより多く使うと、カジキの漁獲量が増加することがわかった。一方で、クロマグロの漁獲量は減少することも確認された。

「今後の研究では、漁獲物選別のために有益な海洋学を基礎とした管理を提案する必要はあるのだが、私たちが今回調査した海域では、高気圧型渦の沿岸海域での漁業を避け、ライトスティックを使用して夜に釣りをすることで、クロマグロの乱獲を軽減することができ、またターゲットを絞ったより効果的なカジキ漁が出来ることがわかった。

要約

中規模渦、海面水温(SST)、アメリカ北西大西洋の延縄漁業で大西洋クロマグロ、キハダマグロ、メバチ、カジキの漁獲に使われるギアの配置における影響を分析するために、1993年から2005年までの間に62121回行われた延縄漁における、4つの魚種の漁に対するこれらの変更条件に関連した多変量統計モデルを作成した。その13年間、30–55°N、30–80°W地域で103個の高気圧型の渦と269個の低気圧型の渦が我々のアルゴリズムによって探知された。

マグロやカジキの漁獲は異なる渦構成に関係があることがわかった。クロマグロの漁獲量は高気圧型渦で最も高くなる一方で、キハダマグロやメバチの漁獲量は低気圧型渦で最も高くなった。カジキは、渦の外側の地域でよく漁獲されていることが確認された。

我々の研究では、マグロは日中、カジキは夜の操業が効果的だということを確証した。それに加え、クロマグロとカジキの漁獲量に関して言えば、私たちが試したほとんどの変更条件に対して、全く逆の反応を示した。クロマグロの漁獲量は、経度や使用されたライトスティックの数に否定的に相関していたのに対し、カジキマグロの漁獲量は、これら二つの条件に肯定的な相関関係があった。

私たちが今回調査した海域では、高気圧型渦の沿岸海域での漁業を避け、ライトスティックを使用して夜に釣りをすることで、クロマグロの乱獲を軽減することができ、またターゲットを絞ったより効果的なカジキ漁が出来ることがわかった。ただし、今後の研究では、漁獲物選別のために堅実な海洋学を基礎とした管理プランを提案する必要がある。

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ネレウスの研究者たちは、カジキの漁獲量は渦外の海域で多くなり、ライトスティックを使用することで増加することを示した。Image: "Hooking a swordfish" by Paul Glavin, CC BY-NC-ND 2.0.