Juan José Alava (ネレウスプログラム/UBC) が筆頭著者を務めた新しい論文がFrontiers in Marine Scienceに掲載された。著者らは、永続的な有機汚染物質（POPs）と水銀レベルが南米の太平洋沿岸の種にどのように影響を与えているかを理解するために、エクアドルのグアヤキル湾でハンドウイルカ（Tursiops truncatus）を研究した。生態毒性リスク評価によると、地域に生息するハンドウイルカが POPsと水銀に晒されたことに起因する免疫毒性の問題と内分泌障害を起こしていることを示している。これらの環境汚染物質へのイルカの曝露は、個体数の減少の一因となっており、それは、生息地の劣化、浚渫、海上交通の増加、過剰な観光業、混獲などの他の人為的要因によってさらに悪化している。著者らは、地域のハンドウイルカはPOPsと水銀で汚染されているため、周囲の生態系の健全性を測定し、汚染と生態毒性のリスクを監視するための指標種として使用できることがわかった。 彼らは、海洋哺乳類と公衆衛生を保護するために、またPOPsと水銀を効果的に制御するために、国際的、また国家的政策の両方が使用されるべきであると主張し結論をまとめた。以下、全要旨。
要旨：ハンドウイルカは、エクアドルの沿岸水域、河口域、マングローブに見られる非常に一般的なクジラ類である。しかし、その個体群規模はグアヤキル湾で徐々に減少しており、生息地の劣化、規制の緩いイルカウォッチング、浚渫、海上交通の増加、水中騒音、混獲、海洋汚染などの人為的要因が関係している。南アメリカの太平洋沿岸のハンドウイルカの残留性有機汚染物質（POPs）と水銀による汚染についてはほとんど知られていない。そのため、グアヤキル湾のマングローブ（El Morro Mangrove Wildlife Refuge）においてバンドウイルカを放し飼いにし、ポリ塩化ビフェニル（PCB）、有機塩素系農薬（OCP）、ポリ臭化ジフェニルエーテル（PBDE）を含む総水銀（THg）、またPOPsに関する評価を2018年にエクアドルで初めて実施した 。イルカのサンプル（つまり、皮膚と脂肪; n = 9）は、汚染物質分析のためのダーツ生検フィールド法を使用して採取された。 POPs濃度は脂質重量で0.56〜13.0 mg / kgの範囲、THgは乾燥重量で1.92〜3.63 mg / kgの範囲であった。主なPOPsはOCP（ΣPOPの50％）で、PCB（46％）とPBDE（6.0％）がそれに続いた。特に、主なDDT代謝産物であるp,p′-DDEと強力な抗アンドロゲン性は、ΣPOPの42％を占め、0.12から〜7.0 mg / kg lwの範囲で、PCB 153（8.0％）とPCB 180（ 5.0％）が続いた。 POPs濃度は、世界の他の多くの地域のイルカで見られる濃度よりも低いが、一部のTHg濃度は、米国南東海岸のイルカに見られる濃度範囲内であった。生態毒性学的リスク評価は、サンプリングされたイルカの一部がPOPsと水銀による免疫毒性と内分泌撹乱作用に曝露されていることを示した。化学的汚染を含む人為的脅威に直面して個体群が減少し続けると、もともと低いイルカ個体群の遺伝的多様性は、おそらく遺伝的孤立と独特の進化的遺伝を示し、失われる可能性がある。私たちの調査結果は、エクアドル沿岸のハンドウイルカが環境汚染物質に晒されており、生態系の健全性ための指標種として使用して、地域の汚染を監視し、生態毒性リスク評価と地域の汚染物質管理をサポートできることを示唆している。
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Alava, J.J., Calle, P., Tirapé, A., Biedenbach, G., Cadena, O.A., Maruya, K., Lao, W., Aguirre, W., Jiménez, P.J., Domínguez, G.A., Bossart, G.D., & Fair, P.A. (2020). Persistent Organic Pollutants and Mercury in Genetically Identified Inner Estuary Bottlenose Dolphin (Tursiops truncatus) Residents of the Guayaquil Gulf, Ecuador: Ecotoxicological Science in Support of Pollutant Management and Cetacean Conservation. Front. Mar. Sci. 7:122. doi: 10.3389/fmars.2020.00122 link.
