Written by Nereus Fellow Matilda Petersson,

地域漁業管理機関 (以下RFMO)は、高度回遊魚類資源やストラドリング魚類資源に関して拘束力のある措置を採用する義務を負う唯一の組織である。これらの種で最も有名なのがマグロおよびマグロ属魚類であり、これらは5つの専門機関、マグロRFMOを通して管理されている。

世界規模のマグロ資源の持続可能な管理を可能にすることは、非常に重要である。今日、主要な商業マグロ資源の30%が乱獲されていると考えられている。生態学的観点からも、マグロは、多くの海洋生態系で頂点捕食者として大事な機能を果たしているため非常に重要である。また、マグロは高い社会経済的価値を持つ。マグロ漁が成り立つことで、世界最大の商業漁船が維持でき、また開発途上の多くの沿岸国にとっては、アクセス料によって政府歳入を生み出すことできる重要な存在である。マグロはまた、世界中の多くの沿岸コミュニティで生計の機会を提供し食料安全保障に貢献する、大規模漁船を維持する役割を果たす。

重要なことは、マグロRFMOの加盟国が、漁獲する種類、漁獲量、漁獲場所をまとめて決定する。全ての国家がこれらRFMOの加盟国ではないが、むしろこれらの機関は、漁獲できる種や地理的領域に興味を持つ国々(大抵、遠洋漁業国と称される)、またはRFMOによって管理される地理的領域付近の沿岸国(沿岸国と称される)で構成される。原則として、RFMOの決定はコンセンサスが取られ実施される。これは、実際にはRFMOが漁業資源を効果的に管理するための能力に対して影響を及ぼし、意思決定が遅れたり、より論議されるべき問題が延期されたりする可能性がある。

RFMO加盟国に加え、RFMO会議に参加している大多数の非国家主体もあり、意思決定プロセスを形成しようとしている。その参加者とは、非営利で公共の利益を追求する市民社会団体、また、営利を目的としその加盟国の私的利益を追求する業界関係者だけでなく、海洋や漁業の問題に焦点を当てた民間の研究機関やコンサルタント会社の代表などである。それゆえ、非国家主体の関与や主張がどのようなものか、そのパターンを考察することが重要である。

 

5つのマグロ RFMOの海に飛び込み、RFMOの意思決定機関である委員会で非国家主体の関与や主張を考察すると、興味深いパターンが確認できる(他の詳細については最近の出版物Petersson et al 2019を参照)。

初めに、これらの会議への参加の多くを占めているのは非国家主体であり、全体の30-60%に及ぶ。第二に、産業主体は(漁業会社または漁業協会を代表する)、他の非国家主体よりも数が多い。業界の代表者はまた、一般に加盟国の代表団に含まれており、これまで継続的に参加しているため、より広範な権限を持つ傾向もある。逆に市民社会団体の数ははるかに少なく、オブザーバーとして参加する傾向があり、時間の経過とともに継続性が低下する。総合すると、業界関係者は政策立案者と長期に渡り緊密な関係を築くことができるため、市民社会組織よりも政策結果に影響を与える立場にあることを示している。一方で、市民社会組織は数の点ではそれほど多くはないが、RFMO会議の参加者からは目に見えて影響力があると見なされている機会が増している。

最後に、他の興味深いパターンとしては、参加している非国家主体の所属国から判断できる。非国家主体が、主に高所得国であることは非常に明白である。いくつかのマグロRFMOが低所得および低中所得の加盟国で構成されているにもかかわらず、RFMOでのそれらの国々からの非国家主体が非常に限られている。非国家主体からの代表者が足りない場合、例えば、マグロ漁業からの利益の分配に関して、開発途上国にとって不利な政策決定につながる可能性がある。世界で最も豊かなマグロの海は、太平洋地域のような開発途上の沿岸国の排他的経済地帯(EEZ)内にあるので、この偏りは非常に重要な問題である。

非国家主体の関与において実証されたパターンは、RFMOの政策プロセスに影響を与える様々な関係者の好機に影響を及ぼす。RFMOのような国際組織の非国家主体の代表を分析することは、ますます開かれた時代において、国際機関や政策分野にまたがりこれらの関係者に対して非常に重要である。地球規模の環境政策に影響を受ける人々の公正な主張による要求は増加し続けている。

 

Reference:

Petersson, M.T., Dellmuth, L.M., Merrie, A. and Österblom, H., (2019). Patterns and trends in non-state actor participation in regional fisheries management organizations. Marine Policy, 104, pp.146-156 link