Written by Nereus Fellow Kisei Tanaka,

特定の種における生息地の適合性を表す数値指標である、ハビタット適正指数は、一連の物理的/気候的変数と相対的な種の個体数または発生との間における経験的な関連性に基づくことが多い。これは、生物の生物的地位の可視化と呼ばれる。

従来のハビタット適正指数モデルは、一般に種の生息地の好みは時間が経っても一定であり(例:ニッチ保守主義)、既知の種の分布に基づいて、ある地形での種の発生確率を予測する。

将来的に、生息地の適合性の定義を変更することを許可することは重要であるか。それを明らかにするために種の分布や生息地に関する既存のデータを使用できるのか。具体的には、生物学的システムの適応をハビタット適正指数の変化に組み込む方法を考案することができるか。これが私の研究分野で取り組みたい広範な問題である。

生物の地理的範囲に基づく従来のハビタット適正モデリングアプローチは、見積もりが低く、生物の生息嗜好の進化的側面を捉えことができないだろう。しかし、既存のデータを使用して環境の変化に対する生物の反応の適応性に対処するために、代わりのハビタットモデリングアプローチが検討されるだろう。

まず、従来のハビタットモデリングアプローチは、生物の環境とその絶対的適合性におけるメカニズムの関連性を組み込むことができる。

 

そして、一般的には、生存率、固有の成長率、および繁殖の可能性(例:生物の基本的な生物的地位)を推定するには、生物と生息地の構成要素の相互作用を算出するためにエネルギー収支方程式を取り入れる。例えば、オーストラリアトカゲ(ヘテロニアティノビノエイ)の基本的な生物的地位を気候変数に関連して推定するためのモデリングアプローチは、Kearney and Porter (2004)によって構築された。そこでは、気候条件がトカゲの質量とエネルギーのバランスにどのように影響するかを分析するために、個体ベースの数学モデルが使用された。この結果は、その地形での生理学的基準値に基づいて種の適応度のマップを示した。そのような機械的生物的地位モデリングアプローチは、関連するモデルパラメーターが遺伝的変異により影響されるようにすることで、生物の進化的側面に取り組むために修正される(例:適合性を表す個体当たりの成長率の変化) (Holt, 2009)

このアプローチは、特に遺伝的変異の詳細に関して、進化の背景からの様々な環境設定やコミュニティとの相互作用に対する、モデル化された生物の生理学的反応や適応性に関する厳密な調査が必要とされている。変化する環境に応じた種の遺伝的変異に関する明確な実験的評価がまだ不足している。

しかし、(1)遺伝的実験アプローチと(2) 生物学的閾値を定義する機械的生物的地位モデリングを連動させることにより、変化する環境への生物学的システムの適応を定量化するために有用なツールとなる。これにより、ニッチ保守主義の前提を緩め、種の適応を考慮した生息地の適応性における変化を分析するために既存のデータが利用できるようになる。

 

References:

Kearney, M. and Porter, W. P. 2004. Mapping the fundamental niche: physiology, climate and the distribution of nocturnal lizards across Australia. Ecology 85: 3119-3131

Holt, R. D. (2009). Bringing the Hutchinsonian niche into the 21st century: Ecological and evolutionary perspectives. PNAS, 106, 19659–19665.