Written by Nereus Senior Research Fellow Solène Guggisberg,

Solène Guggisberg(ネレウスシニアリサーチフェロー/ユトレヒト大学)は、2019年5月20、21日に、シドニー大学のTim Stephensと共同で、ワークショップ:漁業ガバナンスの透明性をユトレヒトで開催した。シドニー大学・ユトレヒト大学パートナーシップコラボレーション賞の後援で行われた。このワークショップは、他ネレウスリサーチフェローMatilda Petersson(ストックホルムレジリアンスセンター)、主任研究員 Quentin Hanich (ウーロンゴン大学)、 Alex Oude Elferink(ユトレヒト大学)及びErik Molenaar(ユトレヒト大学)を含め、研究および実務の専門家両方が参加した。

透明性は、一般的な国際法、特に環境レジームにおける多くの研究の焦点となっている。しかし、このグッドガバナンス原則は、国際漁業法およびガバナンスの分野では研究が足りておらず、十分に適用されていない。参加者は、漁業ガバナンスの様々な段階での、またいくつかのタイプの対象者に対する透明性の役割について発表し、議論した。透明性は、1つないし複数の定義された目的、ここでは特に海洋生物資源と公平性の持続可能な管理に向けた手段であり続けるべきだ。しかし、それ自体が目的となるべきではない。

 

内部の透明性(国家間または政府関係者間)と外部の透明性(非政府関係者または一般市民との間)も、必ずしも密接に関連しているとは限らない。例えば、地域漁業管理機関では、会議を一般に公開することで、非公開の予備会議を持つ。そこには、選ばれた国だけが招待され、他の国々を実際の議論から除外している。

Solèneは、透明性に関連した食糧農業機関(FAO)の役割に焦点を当てながら、管理に関わる当事者に関するセッションで自身の論文を発表した。彼女は、FAOの主な任務の一つであるデータ収集と共有というグッドガバナンス原則の重要性を指摘した。この専門機関はまた、いくつかの条約/ソフトローの監視にも積極的であり、条約事務局として機能する。その点で、FAOも同様に、その結​​果を公に報告する際の不平等な透明性と、情報が利用可能である場合には、明らかに各国の報告義務のコンプライアンスに関する問題に直面している。最後に、主要拠出国がFAOの事業計画に暗黙で及ぼす影響を踏まえて、FAOが透明性推進の最前線に立っていたのか、その疑問への答えは出ていない。そして単一ドナーによるプロジェクト資金への依存が透明性を脅かすか、また、より一般的にグッドガバナンスであるかについて議論された。

ワークショップの全プログラムは下記よりご覧頂けます。