Written by Nereus Fellow Brooke Campbell,

Photo: Noumea by Ruth Davis

 

漁業は、南太平洋の生活の中心である。太平洋諸島の文化や経済を支えているのに加え、魚は農村部の人々が摂取する動物性たんぱく質の50-90%を供給している。また、沿岸漁業は、最大50%の地方の世帯における主な収入源である。しかし、人口が増えるにつれて魚の需要も増え、この需要を満たすため地方の海洋の生産能力は減少している。つまり、太平洋諸国の指導者たちが、太平洋諸島の次世代のために、沿岸資源を保全する重要な政策決定をすべき時なのだ。指導者たちは、太平洋諸島の人々にとって、沿岸漁業が非常に重要であることを認識している。しかし、特にその地域の収益性の高い沖合まぐろ漁業と比較した際、これらの漁業に対する支援は、開発や管理の「実際の」活動に関しては軽視されがちである。これまで、Vava’u Declaration (ヴァヴァウ宣言)やApia Policy(アピアポリシー)のような国際的手段を通じて、沿岸漁業における高官レベルの政治公約はなされてきたが、明確な歩みや実際の活動についてはまだ不十分である。

2015年、この地域の主な科学技術的政府間組織である太平洋地域共同体は、22の太平洋諸島および領土からの漁業代表者、政府間および非政府機関、学者、コンサルタントが参加する地域ワークショップを開催した。オーストラリア政府が資金提供したこのワークショップでは、各国政府や利害関係者らが沿岸漁業に対する地域全体の政策および管理支援の改善に取り組むために、実施可能な戦略や活動についての経験や考察を共有した。

このワークショップによる戦略的文書A New Song for Coastal Fisheries – pathways to change: The Noumea Strategyには、これまでの地域政策の取り組みがまとめられている。地域の沿岸漁業のための統一されたビジョンを提示し、沿岸漁業管理において、地域レベルの生態系アプローチに対する各国の支援を強化するために、国々が変わるべき道筋を提案した。

 

また、太平洋コミュニティーに対し、文書にある主要な成果を目指した地域的、国家的な進捗状況を追跡できる管理、評価(M&E)フレームワークを開発することを明示している。

M&Eフレームワークの重要な構成要素は、3つの主要目標(権限の付与、回復力、生計と食糧安全保障)にわたる22の太平洋諸島および領域の進捗状況と、いくつかの目的および関連する指標について報告する年次沿岸漁業報告書である。しかし、2016年の最初の年次沿岸漁業報告書では、進捗状況を適切に管理するために必要な情報に大きなギャップがあることが判明した。2018年の報告書でも、沿岸漁業データの入手可能性、利用可能性、使用に関して、未だ著しい制限やギャップがある。太平洋島嶼国が首脳陣に取り組みを報告することは厄介なことかもしれないが、それ以上に問題なのは、非常に多くの人々の食糧安全保障のために、資源は持続可能な管理を行うべきなのだが、この重要な情報の欠如により、太平洋島嶼国政府がその予測や、計画、準備をしていくことに支障をきたしていることである。

The New Songの誓約の勢いを保ち、沿岸漁業データを適切でタイムリーに共有できるよう改善する地域の取り組みは、Coastal Fisheries Working Group(CFWG) やRegional Technical Meeting of Coastal Fisheries (RTMCF)といったイニシアチブの存在から明らかである。2018年11月にニューカレドニアのヌメアにあるPacific Community本部で開催された第2回RTMCFでは、データ収集、標準化、保存、分析、および共有に関する問題が重要な議題となった。そして、 2019年3月にヌメアで開催される年次Heads of Fisheries会議で再びその議題が中心となる。Heads of Fisheriesは、Pacific Communityの漁業活動プログラムの監督と、地域の漁業関係者の間で特に関心のある議題について議論する機会を提供する。私は、太平洋漁業管理と政策に関心があり、大学院での研究は、この地域の漁業管理における技術および情報の流れに焦点を置いている。そのため、ウーロンゴン大学のオーストラリア国立海洋資源安全保障センターの公式監視員としてこの会議に参加できることを光栄に思う。

 

Photo: Kiribati fish seller by Brooke Campbell