Harriet Harden-Davies(ネレウスリサーチフェロー/ウーロンゴン大学/ANCORS)、Guillermo Ortuño Crespo(デューク大学)は、Daniel Dunn(研究責任者/デューク大学)と共に独立政策研究所IDDRISciences Po政策概要を発表した。彼らは現在の世界的な公海ガバナンスのフレームワークについて議論し、国連海洋法条約(UNCLOS)に基づいて構築され、現在のガバナンスのギャップを埋めるのに役立つ10の意欲的な措置を提案する。

以下は、概要内の主なメッセージ:

  • 国連の国々は現在、国内管轄区域を超えた地域(ABNJ)の海洋保護と持続可能性に焦点を当てた条約について交渉中である。
  • 国家と利害関係者は協力して、「強力でグローバルな監視体制で効果的で公平な条約」を構築すべきである。
  • 現在の交渉は、海洋遺伝資源(MGR)、海洋保護地域(MPA)、地域ベースの管理ツール(ABMT)、環境影響評価(EIA)、能力開発および技術共有を対象とする「包括案」に基づく。
  • UNCLOSの下で構築され、既存の公海ガバナンスフレームワークを強化して、「協力と科学」を世界共通制度の中心に置くことにより、海洋生物多様性を保護する新しい条約を要請する。

著者らの意欲的な措置は、天然資源とその活用に対して増加し続ける人間の需要を認識し、「包括案の要素を超えて」以下を含む条約のフレームワークを構築することを目的とする。

  1. UNCLOSのビジョンの前進
  2. グローバルな監視体制
  3. 分野および地域のガバナンスの強化
  4. 気候変動への取り組み
  5. 公正で公平な条約の構築
  6. 海洋生態系の保全
  7. 公海漁業の効果的な管理の支持
  8. 能力の強化と海洋技術の共有
  9. 「科学と協力」を保全と管理の中心に置く
  10. 公海に継続して注目

著者らは、グローバル漁業と海運の拡大、開発中の深海底採掘や海洋遺伝資源探査などの技術、気候変動とすべてを悪化させる海洋酸性化に関しても記述し、これらの意欲的な措置が、ABNJの生物多様性と海洋生態系の保護に役立てるための「包括案の要素を超えた全体的なフレームワークを強化するための潜在的な手段」として提供する。

 

Reference:

Wright, G., Cremers, K., Rochette, J., Clark, N., Dunn, D., Gjerde, K.M., Harden-Davies, H., Mohammed, E., Ortuño Crespo, G. (2019). High  Hopes for the High Seas: beyond the package deal towards an ambitious treaty IDDRI, Issue Brief, N°01/19. Link