Harriet Harden-Davies(ネレウスリサーチフェロー/ウーロンゴン大学/ANCORS)が共著した新しい論文「海洋遺伝資源(MGR)へのアクセス:国家管轄権外区域における海洋生物多様性のための新しい協定を通じてベストプラクティスに対する意識を高める」Frontiers in Marine Scienceに掲載された。論文では、研究やその他多くの目的のために、MGRの利益共有を改善するために科学的なベストプラクティスを適応できることを示しており、利用可能性は国連海洋法条約(UNCLOS)BBNJ協定を通じて強化、合理化できる。Harrietは「これにより、海洋科学研究を促進し、能力開発に貢献する利益共有のための体制が促進されることを願う。」と結んだ。以下、要約全文。論文はこちらへ。

 

要約:あまり知られていない深海と国の管轄外地域(ABNJ)のより良い科学的知識は、環境保護の鍵となり、環境圧力の増大を考慮するとその必要性は緊急課題である。生物多様性研究コミュニティの海洋遺伝資源(MGR)へのアクセスは、これらの環境をより特徴付けるために不可欠である。ABNJにおける海洋生物多様性の保全と持続可能な利用を促進するための新しい条約を構築するために、国連海洋法条約(UNCLOS)の後援の下で交渉が始まっている。現在進行中の条約の発展に関連する問題を検討することは、非常に適切なタイミングである。現在、ABNJの地域的および世界的なガバナンスのギャップを背景に、MGRの法的定義と関連する利益分配の範囲には不確実性がある。これらの複雑さは科学に反映されており、最近のゲノミクス分野での大きな進歩がある一方で、結果として増大するデータ量の取り扱いにはばらつきがある。ここでは、科学的観点からMGRの概念を定義し、関連する規制に照らして、ABNJからMGRを生成し、アクセスするための現在の慣行を再考察し、ケーススタディによってベストプラクティスの有用性を証明する。MGRのアクセシビリティのベストプラクティスを強化することを目的として、次のような推奨事項を挙げる。

1.分類学/生物多様性研究の中心的重要性に対する資金提供者の認識

2.長期サンプルキュレーションのための博物館/コレクションのサポート

3.データへのオープンアクセス

4. 世界的に認められたデータ標準とプラットフォームの使用とさらなる開発

5.ベストプラクティスワークフローへの取り組み

6.客船の国際的登録

7.上記へのアクセスをさらに集中化するための情報センターの開発

私たちは、ベストプラクティスへの取り組みにより、研究のためのMGRをさらに共有し、保全および環境モニタリングを含む広範な二次利用ができるようにし、また国家管轄権(BBNJ)プロセスを超えて生物多様性の情報を得られるアクセスと利益共有(ABS)の例を提供していくことを主張している。

 

Reference:

Rabone M, Harden-Davies H, Collins JE, Zajderman S, Appeltans W, Droege G, Brandt A, Pardo-Lopez L, Dahlgren TG, Glover AG and Horton T (2019) Access to Marine Genetic Resources (MGR): Raising Awareness of Best-Practice Through a New Agreement for Biodiversity Beyond National Jurisdiction (BBNJ). Front. Mar. Sci. 6:520. doi: 10.3389/fmars.2019.00520