Written by SMEA master’s student Karin Otsuka,

サーモスの保温ボトルに温かいコーヒーを入れた私は、発表者のパワーポイントを回収し、プレゼンターとパネルの経歴を編集し、各プレゼンテーションがスムーズに進むように調整することで、頭の中がいっぱいだった。ヒールを履いて壇上への階段を幾度も上り下りするのは想定外だったが、研究者としてだけでなく、社会人として成長するのに役立つ貴重な経験となった。

 

太田義孝、Sallie Lau、Marlena Skrobe、 Karin Otsuka(左から)

 

SMEAの2年生3人、Marlena Skrobe、Sallie Lau、そして私は、ニュージャージー州プリンストン大学で開催された日本財団ネレウスプログラム海洋科学会議に参加するという素晴らしい機会を得た。9月14日と15日、私たちは、変革を起こすこのグローバルネットワークの一員となった。この2日間の会議は、ネレウスが推し進めた研究とコラボレーションの集大成であり、8月に出版された書籍「未来の海を予測する:地球環境変動下での海洋と人間の持続可能性」にまとめられた。この会議は、6つの主要な章に貢献した著者らの調査結果の総体として編成された。

 

「未来の海を予測する:地球環境変動下での海洋と人間の持続可能性

 

 

日本財団が設立したプログラムであるネレウスは、海洋ソリューションを通じて社会の改善に変化をもたらすというミッションを持ち、イノベーションとコラボレーションのハブとして位置付けられ、UW/SMEAの太田義孝Research Assistant Professor(ネレウスディレクター・政策)が率いている。

プレゼンテーション初日、政府のあらゆるレベルの政策に関連する報告書を周知するために、既存の知識を活用する必要性についての Cheung博士による講演で幕を開けた。具体的には、人間と自然の海洋システムの枠組みを開発することで、地球規模での海洋の未来の状態のモデリングとシナリオ構築を改善することができるという話であった。その日は自然科学の分野に焦点を当て、気候変動による変化海洋化学を変える汚染物質などのトピックについて議論した。

 

2日目、未来の海に関するプレゼンテーションについてのパネルディスカッション
(左から)太田義孝、Kelly Kearney(同窓生)、 Philippe Cury(諮問委員メンバー)、笹川陽平 日本財団会長、通訳

 

2日目のセッションでは、社会科学分野を中心に、伝統的な生態学的知識企業の社会的責任などのトピックに議論が及んだ。ガバナンスとコミュニティの対応は、私自身の論文で重点を置いている分野であるので、特に楽しみにしていた議題だった。実は、私はこの会議の1か月前に、沖縄の宮古島での研究からアメリカに戻ったところだ。宮古島では、市長やNGOリーダーなど、島内における海洋ゴミの問題に対処するための彼らの認識を評価するために、さまざまな人々と会ってインタビューをした。彼らは、快く今ある懸念や利用可能な資料を共有してくれた。私は、サンゴ礁周辺のツアーをしてくれた船長とフライングブリッジに座った後、インタビューの対象者を絞った。インタビューした2人と一緒にビーチの清掃にも招待された。手袋をはめた手を汚しながら友情と尊敬を感じ、特に楽しんだ出来事でもあった。私の初めてのフィールドワークを行った充実した夏から戻り、プレゼンターが経験した同様の経験、また個々の研究が大きなプロジェクトにどのように貢献したかを聞いてわくわくした。

 

Nakama Koujiさんは、池間島で民宿を経営しており、日々のビーチ清掃が自分の義務だと考えている。インタビュー後、民宿から徒歩5分のところにあるカギンミ浜を清掃した。Nakamaさんとお兄さんとお母さん、そして私の4人で片付けた海のゴミで、1トンバッグ(写真)はいっぱいになった。発泡スチロール、大型の漁具(ネットやブイなど)、小さなプラスチックの破片がごみの大部分を占めていた。

 

この2日間のプレゼンテーションを通じて明らかになったのは、地球規模での人間と海洋の相互作用について考える際に背景を考慮することの重要性である。背景には、コミュニティレベルから状況を検討し、直面している差し迫ったニーズと懸念を理解する力がある。人為的環境問題を不均衡に経験しているコミュニティに権限を持たせることは難しいという一般的なコンセンサスがあるが、社会と人権を最前線に置いてこれらの問題に対処するという変化が期待されている。研究者らはまた、社会、環境、経済のために、持続可能な慣行の促進に責任を負うために、企業やレストランに対して行動を起こすことを呼びかけた。消費者の行動と個々の選択だけに頼ることができないところまできたわけだ。

個人的には、統一された目標の下でさまざまな専門知識を結集する際に、グローバルなパートナーシップがどんなものなのかを目の当たりにし、刺激を受けた。論文を書き始めたばかりの修士課程2年の私は、キャリアパス、博士課程に進学するのか、自分の価値観に最も適した組織はどこなのかなどを考えたりと、圧倒されっぱなしだった。不確実な時代において、この会議は可能性の世界を開いたと言える。「現実の」共同ネットワークに踏み入った学術分野をつなぐ道へ。ネレウスフェローの何人かは、「アイデアを互いにぶつけ合うのが好き」、「リラックスしたカジュアルな環境で創造的で素晴らしいことを思いついて、多くのプロジェクトが開始される」とMarlenaに話してくれた。私は内向的な自分を押して新しい人たちと会話し、質問をし、自分の研究への興味について話した。このプロセスを楽しんでいることに気づき、これがSMEA在学中あるいは卒業後に、自分が将来やりたいことなのだという結論に至った。

 

The original version of this blog was posted on October 28, 2019 on The School of Marine and Environmental Affairs site ‘Currents: A Student Blog. It can be accessed here.