太田義孝(ネレウスディレクター・政策/ワシントン大学)とWilf Swartz(プログラムマネージャー) は、論文‘Corporate Social Responsibility (CSR) Practices of the Largest Seafood Suppliers in the Wild Capture Fisheries Sector: From Vision to Action(漁業部門における最大の水産物供給会社の社会的責任=CSRについて)‘を共著した。論文では、水産物供給会社が踏む段階および水産物における持続可能性の改善を構築するためのメカニズムを定量化することを論じた。著者らは、次の2項目に焦点を置いている。1.世界最大の25の水産会社がCSRとして何を慣行しているか。2.シーフードバリューチェーンおよび漁業管理における社会的、環境的改善の推進のためにこれらの慣行がどのような可能性をもたらすか。

論文の要約は以下。

「水産業のCSRは増加している。国民の意識の上昇やNGOの運動により、水産物の購入者たちは、天然の水産物調達の持続可能性を改善するために様々な確約をしている。この努力の一部として、水産物供給者は、購入者の調達要件を満たすために独自のCSRプログラム開発している。しかし、これらの企業のCSRは、多くが中間サプライチェーンまたは垂直統合であるため、ほとんど知られておらず、未だ調査されていない。私たちは、中間チェーン水産物供給者が、持続可能性への取り組みにどのように携わるかをより理解しやすくするため、漁業水産製品を取り扱う、世界で最大の25の水産物会社(収益で)のCSR慣行状況を再考察した。そして、文献や既存のフレームワーク、および初期データ解析に基づいて、対処された問題と用いたアプローチによりCSR慣行を特定、分類するための構造化フレームワークを開発した。

私たちは、企業が4つの重要な分野に取り組むために、次の5つのカテゴリー:パワー、慣行、パートナーシップ、公共政策、慈善事業に当てはまるさまざまな活動を通じてCSRを実行することを見出した。この研究で明らかになった大きなギャップは、説明責任のための仕組みの欠如、また影響に関する一貫した説明不足である。さらに、多くの企業は、確実に実行できる明確な目標や構造がないまま、CSRに取り組むことを表明する。したがって、水産会社の社会的および環境的側面における業績を改善するには、CSRのためにより良いビジネスケースを作ることが必要となるだけでなく、公的監視と規制を通じて、企業が必要なプロセスと体制を整備していることを確認するのも重要である。」

 

Packer, H., Swartz, W., Ota, Y., and Bailey, M. (2019). Corporate Social Responsibility (CSR) Practices of the Largest Seafood Suppliers in the Wild Capture Fisheries Sector: From Vision to Action. Sustainability, 11: 2254 doi:10.3390/su11082254

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