これは、気候変動による海と漁業への影響についてのシリーズで、今回は、ネレウスプログラムがCOP21 会議( 気候変動枠組み条約)に備えて行った調査に焦点をあてる。
気候変動は、世界中の温度に影響しているだろう。しかし、すぐに明らかにならないだろうことは、気候変動が海の温度に影響を与えるだろうということだ。二酸化炭素排出量の相場がもし変わらなければ、平均海面温度は今世紀末までに2〜3.5度上昇することが予想されている。大したことのない温度差のように思われるが、多くの面で海に影響を与え、今日の海とは大分異なる様相となるだろう。
熱帯域での魚の絶滅
両極にある氷河が溶けていることが人間や環境に影響を与えるだろうことは、今では周知の事実であるが、赤道付近でも劇的な影響があるだろう。熱帯域での気温の変化は、世界のどの地域より早く引き起こされることが予期されている。海洋種は、一般的に両極近辺や深海などの海水温度の低い地域に向かって移動することが予想される。二酸化炭素排出が変わらなければ、いわゆる BAUシナリオ ( 何も手を打たずに従来どおりの状況 )では、魚は65%早く現在の生息域から移動し、生物多様性と生態系に変化をもたらす。
水温が暖かすぎるといった悪条件下では、魚や他の生物の成長や生殖にマイナスの影響が出る。その結果、魚は絶滅するかもしれない。高二酸化炭素のシナリオ下では、世界的に2000年から2050年には、魚の最大重量が平均14〜24%縮小することが予想される。それゆえ、赤道付近ではほとんど魚がいなくなるし、いたとしても魚は小さくなる。
なぜこれが大きな問題となるのか。赤道付近のほとんどの国々は、複数の共通点がある。その国々は一般的に開発途上国で、島国であるか、広範な海岸線を持っており、食糧源として魚に依るところが大きい。彼らの海に魚がいなくなれば、食糧安全保障が危険に晒されるだろう。これらの国々の多くが、サンゴ礁でのダイビングや、シュノーケリングといった観光が主な産業や新興産業となっている。
両極近郊の国々への影響
魚が移動することによる影響は、赤道から遠く離れた国々でも感じられるだろう。北アメリカ沿岸では、冷水魚の資源が減少し、マグロ、メカジキ、サワラ、マヒマヒのような熱帯魚種がより多く見られるようになるだろう。これらの魚は、現在の二酸化炭素排出により大きさが縮小するだろう。これは、イワシのような魚を餌とする、マグロ、クジラ、海鳥、アザラシ、アシカのような種にも問題を引き起こす。
両極により近い魚資源においては種類が増え、増量するかもしれないが、北極で強くなるだろうと予想される海の酸性化の影響のため、潜在的利益は不確実である。新しい漁業資源や海氷を失った漁場は、国や国際漁業管理に立ち向かうだろう。加えて、石油やガス抽出と輸送に見られる他の人間活動の増加の恐れは、生態系への更なるリスクをもたらすだろう。
Next steps: This research is found in the Nereus report Predicting Future Oceans — Climate Change, Oceans & Fisheries. The report also includes policy strategies to be pursued in light of these issues.
For further information or interview requests, please contact:
Lindsay Lafreniere
Communications Officer, Nereus Program
Institute for the Oceans and Fisheries
The University of British Columbia
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