Natasha Henschke (プリンストン大学/ネレウスフェロー)が、ノルウェーのベルゲンで5月9日〜13日に開催されたICES( 国際海洋探査協議会)/ PICES( 北太平洋海洋科学機構)第6回動物プランクトン生産シンポジウムに出席した。

Henschkeの発表:

気候とくらげ(鉢クラゲ)繁殖の世界的な関係のモデリングについて

クラゲの総体量が未来の変化にいかに反応するかについての理解を深めるためには、私たちはまず、過去と現在のクラゲの分布や総体量に影響する原因を理解する必要がある。それゆえ、底生または漂泳性両方の生活段階を持つ遍在くらげ(鉢クラゲ)の個体群モデルを私たちは構築している。このモデルは、温度もしくは摂食の両方、またはいずれか一方を条件として成長、繁殖、死亡率を生活段階において両群を対象に追跡した。経験的なクラゲの生物量データとモデルにより算出された値を比較するために、サウサンプトン河口、メキシコ湾、黒海の3ヶ所の温度時系列と動物プランクトンの生物量を使用し、モデルを作動させた。これらの場所を選んだのは、約20年の長期に渡るクラゲ生物量のほぼ毎月のサンプルがあるからである。モデルによる値は、季節的変異性や平均クラゲ生物量がそれぞれの場所で、以前報告された値によく一致していることを示している。クラゲ生物量は、気温の上昇や食物有効性に正の相関を持つ。そして、クラゲの死亡率よりもポリプの死亡率に対してより敏感な反応が見られた。クラゲの繁殖サイズを規制することで底生ポリプ生成の重要性を確証した。このモデルの次の応用として、将来の変化にクラゲがどのように反応するかを決定付けるために、世界レベルでの気候予測を使用する予定である。