国連の持続可能な開発目標は、より良い世界を実現するために設定された素晴らしい目標である。しかし、目標間でお互いにどのように影響し合うのだろうか。ある目標が、すべての成功のためにより重要な役割を担うのか?その可能性はある。 新しい論文で、ネレウス研究員Gerald Singh,、Andrés Cisneros-Montemayor、Wilf Swartz、William Cheung、 J. Adam Guy、 Tiff-Annie Kenny、 Chris McOwen、 Rebecca Asch、 Jan Laurens Geffert、Colette Wabnitz、Rashid Sumaila、 Quentin Hanich、Yoshi Otaは、様々な持続可能な開発目標間の関係を評価するためにフレームワークを構築した。このネレウス研究チームは、SDGsの38%が、その目標の成果を上げるには、海洋の持続可能性に取り組むSDG14の目標達成に左右されることが分かった。さらに、SDG14は、他の全ての持続可能な開発目標に関連している。

しかし、すべてのSDGsは平和的に共存できるわけではない。この研究で、トレードオフもいくつか特定された。「SDGsの考えの中で、これらがすべて捕捉的でネスト化されているという前提があるが、そうではない。それらすべてが必ずしも共に働くわけではない。Singhの新しいフレームワークは、海のSDGとその他目標間の潜在的な緊張点をいくつか特定した。例えば、海洋保護区域を作ると、沿岸域に住む人々が地元の海洋資源にアクセスするのを妨げる可能性がある。これは、飢餓に終止符を打ち、貧困に直面する人々に関係する格差の縮小を目指すSDGの進展を制限するかもしれない。同様に、過剰漁獲や有害な漁業補助金の排除すると、十分な職業機会と経済成長に悪影響を与える可能性がある。しかし、これらのトレードオフは変更不能なわけではない。

過剰漁獲を減らした場合、短期的には一部の人々が職を失くす可能性がある規制を作ることとなるだろう。しかし、長期的には、切り替わる可能性がある。過剰漁獲を減少させる計画に、代わりの雇用機会を盛り込めば、このトレードオフの影響を小さくする可能性がある。」実際、研究者たちが特定した7つのトレードオフは「状況による」として定義された。状況に適切かつ注意を払うことで、そのトレードオフは必ずしも現れるわけではない。

海洋目標 (SDG14)は、その他SDGs間で、特に社会資本と気候変動に関して重要なコーベネフィットを示している。(ネレウスレポート参照:Oceans and the Sustainable Development Goals: Co-Benefits, Climate Change and Social Equity)これは、トレードオフが最も少なく、幅広い目標かもしれないが、研究者たちが開発したフレームワークは、全てのSDGsに適用される必要がある。このフレームワークは、様々なSDGを達成するためにガバナンスをどのように変更するかを判断するのに役立ち、国内規模および地域規模のその他の目標にも適用できる。ネレウス研究員たちは、持続可能な海洋開発を支える政策の優先順位付けを支援するために政府と協力しているアルバで、国家規模でSDGフレームワークを適用し始めている。アルバでは、経済の主軸は沿岸観光である。そのため、政府は海洋問題を優先させている。「この論文では、海洋が、いかに他のSDGsを支持するのかを具体的に検討した。アルバでも同じことを行った。そして、逆にその他SDGsが、いかに海洋を支援するのかも考察した。」と Singhは語った。このようにフレームワークを使用することで、持続可能な海洋を支援するためにどのSDG分野を優先すべきかを決定することができ、統合的政策に情報を提供することができる。

「このフレームワークの大きな構想は、持続可能な開発を効果的に促進する統合的政策を確立することである。これら多くのSDGsの達成を実現するために、どのように自然界、社会システム、経済が相互作用するかについて、熟慮が必要となるだろう。より哲学的な視点に戻ると、私はこれら3つの存在を分離させることが不自然だと考える。そのような潜在的に欠陥のあるコンセプトを実行すると、重大な問題を引き起こす可能性がある。私たちが望む未来を実現するためには、それらを全体的に考える必要があるのだ。」とSinghは話す。

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Written by Victoria Pinheiro, Nereus Program Strategic Communication Lead
Special thanks to Gerald Singh for expert input.