by Victoria Pinheiro, Nereus Program Strategic Communications Lead
「ある魚は、一生のうちで、一貫した食習慣を持つ時期もあれば、成長により食習慣が変化する時期もある。」と Dr. Becca Selden(ネレウス研究員)は話す。Seldenは 新しい論文で、大型捕食魚が漁獲された後、残された被食魚と競合魚種についてこの差異が何を意味するのかを追究している。
漁師が、タラのような捕食魚を特定の体長になるまで放置することで、それらは再生産され、魚の個体数が適切になっていくことにつながる。これは持続可能な漁獲(他の方法と比較して)を増加させ、乱獲のリスクを減らす。言い換えれば、漁獲するに値する十分な大きさの捕食魚が常にいることを確認することは非常に有効なのである。当然のことながら、これは海に適切な大きさの捕食魚をたくさん残すことになる。
このことが問題になる可能性があるのだが、いくつか理由が挙げられる。大きな魚は、小さな魚よりたくさん食べるだけでなく、より大きく、強くて早い獲物を食べる。実際に、同じ種類の大小の捕食魚は、同じ大きさの別の種の捕食魚よりも多くの種類の餌を食べることができる。だから、もし大きな捕食魚の数を劇的に変化させてしまったら、被食魚や競合魚種の個体数も同様に変化することとなる。Seldenは、特にスコティア棚の海底魚の例に関心を示した。
最も大きな海底魚種の乱獲が行われた後、残った魚は、1970年代の平均サイズの半分以下だった。これは海底魚には問題ではなかった。いくつかの魚個体数が減ったが、より小さな捕食魚個体数がその溝を埋めるように増えたからだ。これにより、捕食魚バイオマス全体が40年間安定した状態を保つことができた。その個体数は3倍となった。Seldenは、海中に残っている魚のサイズの変化が常にこのように大きな影響を生態系に与えるのかどうか疑問に思った。スコティア棚は珍しいケースなのだろうか。
Seldenらは、この問いを検証するために数学的モデルを使用した。食習慣において、同じ種の中でも最も大きく、のちに変化していくもの、突然の変化を伴うものを取り除くと、生態系に大きな影響を与えることに気付いた。魚の成熟後に食習慣に変化が起こると、新しい獲物を食べる機会を得る前に多くが漁獲される。一種類に視点を置き、持続可能に行われたとしても、これは2つの魚種間の捕食魚ー被食魚のつながりを本質的に壊す。「この発見は、生態系と同じように漁業管理にも意味を持つものだ。」とSeldenは語る。彼女は真ダラを例に挙げた。
Seldenは、真ダラは、小さい時にはズワイガニを食べ、ある大きさに達するとスケトウダラを食べるようになる、と説明した。あなたがカニ漁師だとして、ズワイガニの捕食魚である真ダラが漁獲されていることはわかっている。論理的には、多くのカニを収穫することができ、持続可能な漁獲を達成できる。しかし、「タラ漁師は大きなタラだけを捕るため、それは必ずしも真実とはならない。大きなタラはカニではなく、スケトウダラを食べる。もし食習慣の転換を考慮しなければ、カニを過剰に漁獲してしまうかもしれない。」とSeldenは話す。逆に、スケトウダラ漁師が食習慣の転換を考慮にいれないかもしれない。タラ漁師はできるだけ大きなタラを漁獲するので、スケトウダラを食す大きさのタラはあまり残されない。これはunder-fishing(過少漁業、over-fishing 過剰漁業の逆)であるかもしれない。
「漁業の利益は厳しく、この発見により、管理者が漁獲を控える漁業を特定するのに役立つ可能性がある。」これは大きなことであるとSelden は説明する。そして、これは、害虫個体群の偶発的な増加や脆弱である非捕食魚種の乱獲も防ぐことができる。管理者たちが、ある種の突然成長過程で食習慣が変化することを知っていれば、捕食魚と被食魚の繋がりが非常に強く影響を及ぼすことを予想できるだろう。この知識は、生態系に基づく管理を奨励するのに使用できる。「生態系に基づく管理は、より多くのデータと労力が必要だ。海洋生物の食習慣の転換を考慮することで、海の値打ちを最大限引き出すことができるのだ。
Research done in collaboration with the Sustainable Fisheries Group at UCSB. Full paper here.